ごあいさつ

実行委員長

第28回 日本女性医学学会ワークショップを、2023年3月18日土曜日に獨協医科大学 産科婦人科学教室で主催させていただきます。会場は、JR宇都宮駅東口直結の新規コンベンションセンターとして開発された「ライトキューブ宇都宮」になります。ホテルや商業施設が併設され、また1階には新交通システムの次世代型路面電車(LRT)のターミナル設置が予定されています。

今回のメインテーマは「薬物治療の新たな展開」といたしました。女性医学の臨床現場ではホルモン剤を含めた薬剤が日々使用されていますが、新たな知見を利用し、新しい製法による薬剤が、急速に治療の選択枝となり、その原理や作成のメソッドのキャッチ・アップは、重要であると考えています。

本ワークショップで予定されている内容としましては、最初のセッションとしてHRT治療の変遷について徳島大学大学院医歯薬学研究部生殖・更年期医療学分野 安井敏之教授および東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 茨城県地域産科婦人科学講座 寺内公ー教授にお話しいただきます。

閉経前後に生じる頭痛は日本の更年期女性では高い頻度で認められる症状ですが、特別講演は「片頭痛診療の新世紀」のタイトルで、獨協医大副学長、脳神経内科名誉教授で、日本頭痛学会 代表理事も務められた平田幸一先生をお招きしています。頭痛への対応のみならず、本年に入って数社から一斉に発売が開始されたCGRP(calcitonin gene-related peptide)の拮抗・抑制作用による片頭痛治療薬についてもお話をうかがう予定です。

また、もう一つ特別講演は、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報学分野 教授の中山健夫先生にお願いをしています。ご専門は健康情報学で、日本医療機能評価機構のマインズや各種EBM・診療ガイドラインに関する厚生労働科学研究にもふかく携わっておられます。女性医学学会から多く策定されている各種ガイドラインですが、「診療ガイドラインとは何か? ―その適切な活用に向けて― 」というタイトルで、ガイドラインの質の担保のために大切な点をお話しいただきます。

3年前から拡大がはじまった感染への緊急対応として、新型コロナウイルス感染症のワクチンも含めた各種薬剤の急速な進歩は、目をみはるものがあります。創薬の視点からは新薬の開発時間が著しく短縮され、2019年末に確認されたCOVID-19のワクチン創薬は、一躍脚光を浴びたmRNA医薬品であることもあり、ウイルス・スパイクに対する塩基配列の目処は数十時間でたてられ、約1年間で臨床応用まで展開されています。従来型の創薬とはかけ離れた時間軸の短縮はまさに驚異的であり、今回はファイザー㈱ワクチン・リサーチ部の小河原先生 他にお願いし、「COVID-19ワクチン:迅速な開発と接種プログラムへの展開」のタイトルでお話を伺います。

またランチョンセミナーでは、月経前障害(PMDs)への対応について東京歯科大学市川総合病院産婦人科 小川真里子 准教授にお願いしています。

2023年の3月にコロナ感染がどうなっているのかは予測もできませんが、利便性も考えて、現地参加と後日のWeb視聴ができるハイブリッド形式による開催を考えています。現地でも皆様が安心して御参加いただけるように最大限努力いたしますので、スケジュールの調整をしていただければ幸いです。

実行委員長
獨協医科大学 産科婦人科学講座 教授
尾林 聡